喫茶「もみの木」の思い出
阪急十三駅から少し歩いたところにあるそのお店、
中に入ったことは実は二回しかありません
二回とも、映画館(ナナゲイ)の帰りでした
当時教えてくれた友人はどうも別のお店と間違えていたらしいのですが
それがこうして今思い出になっているんですから面白いもんです
初めて来た僕に、ご店主は色んな話をして下さいました
七芸帰りだと告げると、ご自身が以前七芸で観た映画のパンフレットを見せて下さったり(確かエドガーケイシーの「祈り」という映画でした)
バロックがお好きで、かつてお店でチェンバロの演奏会があったこと
そして大阪万博で見たカナダの「もみの木」に惚れ込んで、一念発起しテーラーを辞め、買い取ったそのもみの木をカウンターにしつらえてお店をはじめられたお話
二度目に伺った時は入院されていてお休みでした
僕が貼り紙を眺めていると、偶然通りがかった常連さんらしい方が
何とお電話で退院見込みを聞いてくださって恐縮しきりでした
次に伺った際にその話をすると、ご店主はわざわざ来て頂いたお礼にと
70年万博の設計図をくださいました
その次立ち寄った際には再び休業中の貼り紙が貼られ、しばらくして内容が閉店のご挨拶に変わっていました
ご店主が亡くなられていた事は、最近になって新聞のネット記事で拝見しました
そして偶然にも僕と同じ苗字であったことを知りました
そして今日、改めてご店主の貼り紙を眺めたくなったので伺いました
今日はお向かいのお店の方が声をかけて下さり、ご店主が亡くなられた事、
そして別の方がお店を引き継がれるようですと、教えてくださいました
またいつか、ふらっと立ち寄ってみようと思います。